風速を測定するためには、風速計を使用します。 風速計は、屋外の風を測定する気象観測用の測定器(風杯型風速計、
風向風速計)と、屋内の空調換気設備の点検や室内の気流などを測定するための産業用の測定器に分類されます。
ここでは、産業用途の風速計・風量計について解説します。
風速計(anemometer)は、風として移動する空気の「速さ」を測定するものであり、風量計(volume flow meter)は、風として移動する空気の量を測る測定器です。以下に風速・風量の単位や計算方法などを詳しく解説します。
風速とは、風として空気が移動する「速さ」のことで、一般的には単位時間あたりに移動する距離で表します。
風速の単位: m/s(メートル毎秒)
風量(流量)とは、風として移動する空気の「量(体積)」のことで、風速の値に面積を掛け合わせることで算出することができます。
風量 [m³/h] = 平均風速 [m/s] × 有効開口面積 [m²] × 3600 秒
※ 有効開口面積 [m²] = 開口面積 [m²] × 有効開口率 [%]
※ 開口部に網やルーバーが存在する場合、有効開口率を指定する必要があります。
用途別におすすめの風速計・風量計と測り方をご案内します。
労働安全衛生法(局所排気装置の定期自主検査指針)
熱線式風速計
フードを全開にした状態で、1辺が0.5mになるよう16分割(極端に小さい場合は2分割)して風速を測定し、すべての分割エリアで基準値以上であることを確認します。
熱線式風速計
16mmベーン式風速計
ピトー管式風速計
ダクトの直管部分に測定口を設け、風速計プローブまたはピトー管を挿入して測定します。風量演算機能が付いた測定器では、予めダクト断面積を設定することで風量を表示します。
40m/s 以上の高風速、70℃以上の高温の場合は、ピトー管を用いて、差圧(動圧)から風速を測定する方法が推奨されます。
熱線式風速計
100mmベーン式風速計
風量ファンネル
風がまっすぐに排出される吹出口では、風速計を用いて測定することができます。測定面が広い場合は、複数ポイントの平均をとるか、またはプローブを動かして全面を測定した時間平均をとることで、平均風速を算出することができます。
風量ファンネル
吸込口では、空気が真っすぐに吸い込まれず、横(壁側)からの空気の流れを風速計では捉えることができない場合があります。
また吹出口においても、制気口の形状によっては旋回流や乱流を発生させ、風速計での正確な測定値の算出が困難です。
このような場合には、風量ファンネル(+フローストレートナー)を用いることで、面積の設定をすることなく、簡単に風量を測定することができます。
フード風量計
フード風量計では、ピトー管と同様の原理で、圧力から風量を測定することができます。フードを測定対象に被せるだけで給気・排気の風量を表示します。
建築物衛生法(ビル管理法)
労働安全衛生法(事務所衛生基準規則)
学校保健安全法
対応する測定器:
熱線式風速計
室内の空気環境においては、強い風は不快感を与えます。気流測定によって 0.5 m/s 以下であることを確認します。ダクトや給排気口と異なり、空気の流れの方向がわからないため、無指向性の風速プローブを用いるか、指向性のある風速計ではスモークテスターを併用します。
健康増進法(受動喫煙防止対策)
熱線式風速計
喫煙室の各装置を稼働させて、喫煙者が最も多いと思われる時点で測定します。扉などを完全に開放し、開口面中央の上部・中央部・下部の3点を測定点として、それぞれ複数回の測定を行います。